書籍・雑誌

2009年1月31日 (土)

「荒野へ」

「荒野へ」表紙 「イントゥ・ザ・ワイルド」の原作。これは映画よりも感動的なノンフィクションである。著者は登山家で文筆家のジョン・クラカワー。クラカワーはアウトドア雑誌にアラスカで餓死したクリス・マッカンドレスについて9000語の記事を書いた後、マッカンドレスと自分に共通点が多いことが気になり、さらに詳細にその足跡を調べ始める。マッカンドレスが交流した多くの人たちや死体の発見者にインタビューし、アラスカの現場まで出かける。そして「向こう見ずな愚か者」「変わり者」「傲慢と愚行によって命を落としたナルシスト」という非難を退けるマッカンドレスの真の姿を明らかにする。

この本が感動的なのはマッカンドレスの生き方が感動的だからではない。著者がマッカンドレスの生き方を理解し、共感し、なぜ若者が荒野を、冒険を目指すのかを自分の体験や多くの先例を出して説明しているからだ。何よりも著者がマッカンドレスに深く寄り添っているからだ。ショーン・ペンがこの原作に感動し、映画化しようと思ったのもそこがあるからだろう。しかし、映画にはクラカワーの視点を取り入れようがなかった。いや少しは入っているだろうが、十分ではなかった。マッカンドレスの生き方とさまざな人たちとの交流は分かるけれども、荒野を目指す若者に対して、観客に共感を十分持たせるには至っていない。

原作の前半で最も感動的なのは映画でハル・ホルブルックが演じた老人との交流の場面(第6章)だ。老人は雑誌の記事のことを知り、雑誌を1冊譲ってくれと雑誌社に手紙を出してくる。その手紙を読んだ著者は老人にインタビューに出かける。

マッカンドレスは放浪の旅の途中で多くの人々に忘れられない印象をあたえていた。その大半は、彼といっしょに過ごしたのがわずか数日、長くても一、二週間にすぎなかった。しかし、男性にせよ、女性にせよ、ロナルド・フランツほど深く心を動かされたものは、誰もいない。一九九二年一月にふたりの進んでいた道が交差したとき、彼は八十歳だった。

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2009年1月28日 (水)

「NAVI」3月号

仕事をしていて、またもやあの感覚があった。いや、なかった。左手薬指に指輪がない。もう3度目なのでしょうがないや、とほぼあきらめた。一方で、もしかしたら、車の中に置いてきたバッグの中にあるかも、とも思った。1時間ほど仕事をして車に戻ってバッグを確かめてみたらあった。資料を出す時に指から外れたようだ。もういい加減、作り直そうかと思う。昨年の大晦日になくした際には家内が家の中で見つけたが、外でなくしたらどうしようもない。先日、家内がもらってきたカタログを見たら、20年前に買った指輪より安かった。これなら良いのではないかと思う。

帰りに書店に寄って、「NAVI」と「ミステリマガジン」の3月号を買う。ついでに文庫本コーナーを探したら、なんと、ジョン・クラカワー「荒野へ」(「イントゥ・ザ・ワイルド」原作、集英社文庫)が1冊だけあった。昨日、大きな書店に行った時にはなかったので、やっぱりないかとあきらめていたところだった。小さな書店にあるとは驚き。

奥付を見ると、2007年3月25日発行の第一刷。帯には「2008年アカデミー賞ノミネート」とある。第一刷が売れずに残ったので、昨年の今ごろ帯を付けて売ったのだろう。それが1年たっても残ったということはよほど売れてないのでしょう。普通なら映画の公開時には原作カバーを変えて売るが、あまりに売れなかったのでそれもやらなかったのではないか。

昨日はその大きな書店で天童荒太「悼む人」とジョー・ヒルの短編集「20世紀の幽霊たち」を買った。この2冊まだ読んでいないが、どちらかと言えば、「20世紀の幽霊たち」の方が好みだろうと思う。最初の「年間ホラー傑作選」だけ読んでみたら、まるで「悪魔のいけにえ」だった。18編が収録されており、後半は傑作ぞろいらしい。詳しい感想はまたいずれ。「モダンホラーの正統の嫡子はついに21世紀の言葉で新たな文芸スタイルを打ち立てた」という帯に引用されている瀬名秀明の批評はasahi.comにある。

Navi200903  「NAVI」3月号は先月号からの続きでダイナミック・セーフティ・テスト(DST)のDVD付き。今回はアウディA6RS VS. マセラティ・グラントゥーリズモ。ダブルレーンチェンジテストでのマセラティの動きに驚く。まったくテールがぶれないのだ。このテスト、エルクテストと似たような想定で、前方の障害物を避け、対向車線にはみ出して、また元のレーンに戻る。たいていの車は多かれ少なかれテールがぶれるが、マセラティ、びくともしない。これは高評価だろうと思って本誌を見てみると、やっぱりマセラティの完勝。アウディA6RSは580馬力もあるらしいが、馬力だけじゃダメなのだよ。DSTのDVDは面白いので毎月付けてはどうかと思う。

特集は301号記念で「NAVIっぽいってどういうコト?」。歴代編集長インタビューがあり、今はライバル誌の「ENGINE」編集長・鈴木正文を出しているのがえらい。鈴木編集長時代のNAVIは面白かったんだけど、今の「ENGINE」は今ひとつ面白くない。雑誌は編集長で決まる部分も大きいが、社風も関係するのかなと思う。自動車雑誌は今、NAVIしか買う気がしない。表紙は今月から長期リポートに加わったアルファ・ロメオの小型車ミート。

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2009年1月14日 (水)

kÜssen

ちょっと引用しよう。

火のゆらめきが彼女の顔に反映する。それを見ているうちに、さまざまな想いが凝固して人生決断の時に到った。「みんな焚き火を見つめているわね」と彼女が言ったとき、その口もとに、譬えようもなく愛らしい唇に、当時の学生が使っていた単語で言えばkÜssenした。

週刊金曜日2009年1月9日号の本多勝一「貧困なる精神 北岳に登った51年前の一夜」より。kÜssenの意味は分かるでしょうが、念のためにGoogle辞書を参照。この前にこういう記述もある。

彼女は早稲田大学で長唄研究会にも属している。そして、見違えるほど魅力的に美しくなっていた。女学生時代からかわいらしくはあったが、少し太りすぎで色気もなかった。父親の仕事の関係でT君一家は大学進学のころから東京へ引っ越していたので、私たち同級生はしばしば遊びに行き、ときにはヤミ汁会などもやったが、そのころから彼女は実に知的な美女になっていた。

「週刊金曜日」1月9日号  本多勝一の文章で、こういう描写を読んだのはほとんど初めてではないかと思う。僕は「貧困なる精神」の単行本も十数冊ぐらいは読んだが、これ、サブタイトルに「悪口雑言罵詈讒謗」とあるぐらいだから、批判がほとんどなのだ。今回は正月だから編集デスクとの話し合いで楽しい内容とする意図があったという。ちなみに彼女は現在の奥さんである。

本多勝一は登山の紀行文は必ず書いていて、唯一の例外がこの北岳登山だったそうだ。書かなかったのはまだ”青春”の名残があったころで、恥ずかしさが先立っていたから、とある。昨年末に喜寿を迎えたそうなので、青春の1ページを残しておきたくなったのかもしれない。人生の決断というのはしなくちゃいけない時には、しなくちゃいけないのである。

週刊金曜日は3年近く前、仕事で佐高信さんに会ったのを契機に購読を再開した(佐高さんは金曜日の社長なのである)。3年分の購読料を払ったが、残り17冊となった。読み終わる前に次の号が来るというパターンは以前購読していた時と同じ。まあ、それでもしばらくは購読を続けようかと思う。

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2008年12月 8日 (月)

「一生太らない体のつくり方 成長ホルモンが脂肪を燃やす!」

20081208_0_r 「体脂肪が落ちるトレーニング」の石井直方さんの本。すらすら読める。あとがきによると講演をまとめたものらしい。だからすらすら読めるのか。書いてあることはほぼ「体脂肪が落ちるトレーニング」にも書いてあったことだが、筋トレをやるモチベーションにはなった。しばらくさぼっていたのだ。

本書の趣旨は食事制限だけでダイエットすると、脂肪ばかりか筋肉も落ち、痩せにくい体になるし、リバウンドする。だから筋トレが必要-ということである。「筋トレは、運動中は脂肪はまったく消費しないが、エネルギーの最大消費者である筋肉を増やす」。だから寝ている間にも脂肪を燃焼することになるのだという。また、筋トレをやった後は6時間、脂肪が燃焼しやすい状態になっている。だから、筋トレの後にウォーキングなどの有酸素運動をやると、効率が良いそうだ。

読んでいると、これは絶対、筋トレやらなくちゃという気分になる。石井さんの本は論理的で良いと思う。説得力があるのだ。

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2008年2月20日 (水)

「決定版クルマの運転術」

「決定版クルマの運転術」と「中高年のためのらくらく安心運転術」を続けて読む。どちらも徳大寺有恒の本。この2冊、内容は半分ぐらい同じだった。まあ、それはそうだろう。クルマの運転、中高年になったからといってガラリと変わるわけがない。高齢者は目が悪くなったり、運動神経がにぶくなったりするので、慎重にということぐらいが違ったか。

参考になったのは山道や高速道路の走り方。山道ではギアをトップから1、2速落として走った方がいいそうだ。オートマチック車の場合、ついDレンジに入れっぱなしにして走ってしまうが、下り坂などでブレーキを頻繁に踏むと、フェードしてブレーキが効かなくなる。ギアを落としておけば、エンジンブレーキがかかるし、加速する時も思うように加速が得られる。上り坂の場合もギアを落とした方が加速はしやすい。問題は3速、2速、1速のギヤがあればいいが、DとLの2つしかないクルマもけっこうあること。家内が乗ってるマーチなどもそうだ。+と-でシフトを操作するティプトロニックやシーケンシャルシフトなどはグレードの高いクルマにしかないですね。

高速道路は侵入時に、走っている車より1、2割速い速度で入った方がいいとのこと。加速するのは当然知っているが、1、2割速い方がいいとは知らなかった。2冊ともクルマを運転する上での基本事項が中心だけれど、免許を取って数十年たつと、基本的なことはけっこう忘れているものなのだ。

最近のクルマは急ブレーキを踏んでもスピンすることは少なくなった。特にESPとかVDCと言われる横滑り防止装置が付いたクルマは安心。ただし日本車の場合、低いグレードには付かず、オプションになっていることが多い。エアバッグやABSだけでなく、こうした安全装置は標準で付けて欲しいものだ。ま、日本車も衝突安全性が向上しているのは確か。事故の死者が減り、保険料の支払いが少なくなったので4月から自賠責保険の保険料が若干下がるそうだ。

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